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2010-3  多層基板の熱粘弾性反り解析技術の開発
【1】基板の反りシミュレーション

プリント基板の薄肉化が進み,リフロー時の反りが大きくなる傾向にある結果,高密度実装の阻害や接続信頼性の低下の問題が,以前にまして重要になってきています.このため,FEMによるシミュレーション技術が一般的になりつつありますが,計画段階でのタイムリーな評価の必要性から,より簡便な手法の開発が望まれています.一方,材料挙動の面からは,リフローの温度域内に材料のガラス転移点があると,粘弾性による緩和の効果を無視することができず,反り量の評価を不明瞭にする障壁になっています.

一般的に樹脂の粘弾性挙動は著しい温度依存性を示すため,その特性の把握が実験的にも厳しく,さらにそれを数値モデル化するのにも困難を伴います.かねてより,弊社では,積層構造の熱変形を簡易に算出する手法として,多層ばり理論(1)から積層板理論に拡張し(2),粘弾性の効果を加味してきました(3).今回のニュースレターではさらに,熱膨張係数の温度依存性を考慮した手法を紹介します.合わせて,弊社で開発した「粘弾性積層板の熱反り簡易評価プログラム」を紹介します.本プログラムでは,板厚,材料定数を与えることで,瞬時に反り量と応力を求めることができます.

【2】弾性理論の平面応力場への適用と増分解法

積層板理論に粘弾性を組み込むために,一次元の線形粘弾性理論を平面応力場へ拡張し,それを増分形式にします. 一般に線形粘弾性のモデル化は,次のような一般化マクスウェルモデルを適用します.このモデルは,マクスウェルモデルと呼ばれるバネとダッシュポットを直列に組み合わせたものをFig.1のように並列に配置したモデルです.

・・・ (1)


 

Fig.1 一般化マクスウェルモデル

ここで,Er()は緩和弾性率と呼ばれ,ひずみを一定に保った応力緩和の条件化で定義される縦弾性率です.Eeは長期弾性率,Nはマクスウェルモデルの項数,En,τnはそれぞれProny級数の係数,緩和時間を表します.また, は緩和時間で,時間−温度換算則が成り立つ場合において,実時間tと温度Tから時間‐温度換算因子αT(T)によって次のように表されます.

・・・ (2)

 (1),(2)式から温度依存の粘弾性体の一次元的な挙動を表現できます.なお,時間‐温度換算因子については4章に示します.

次に,一次元の線形粘弾性理論を平面応力場へ拡張します.平面応力状態を考え,面内方向に一様な変形が生じると仮定すると,応力σとひずみεの関係はポアソン比νを使用して,次のような緩和形式で表現できます(4).ここで,ポアソン比は温度や時間に対して変化せず,常に一定であることを仮定しています.

・・・ (3)

積層板理論に組み込むために,(3)式を増分形式に改めます.任意の時間をtm とし,時間増分 tm = tm −tm −1間にひずみが一定勾配Δε(tm ) /Δtm で変化すると仮定すると,Δtm における応力増分Δσ(tm )とひずみ増分Δε(tm ) の関係は,(1)、(3)式から次式で表す事ができます.

・・・ (4)

ここで,σn は第n項のマクスウェルモデルの応力であり,その他の文字は以下のような式で表されます.

・・・ (5)

なお,以下に示す積層板理論のなかでは,各層のひずみの連続性に注目して式を導くため,(4)式はひずみ増分に注目した形式になっています.

 



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