株式会社メカニカルデザイン

 
非線形CAE協会

LS-DYNAサポート

JVISIONサポート お問合せ

News Letter
■Category
■発行年別
■戻る

 

 

弊社ニュースレター(無償)とメールニュースをお届けします。


 1999-4 【特集】 Ogdenモデルによるゴム材料解析

【1】ゴム弾性とひずみエネルギ関数

金属のように結晶構造からなる物質は、その構成要素である原子または分子が整然と配列しており、外力による変形に対しては原子間力の増加で抵抗します。この特性は結晶弾性と呼ばれ、発生する歪みは微小に留まります。これに対してゴムに代表されるような高分子材料は、複雑に入り組んだ長い鎖状の分子構造を持ち、その鎖が伸びることによって数百%に達する大きな歪みが許容されます。

熱力学的なエントロピー(状態の雑然さ、すなわち自由度の多さ)の観点から見ると、分子鎖は、伸びきって自由のない状態よりも自由に縮んだ状態を好むので、この自由度の差に基づくエネルギによってゴムは外力に抵抗します。これをエントロピー弾性と呼びます。実際、ゴムを引き伸ばし、これを肌に当てれば熱を感じるでしょう。これは分子鎖の自由度として保持されていたエネルギが、外界に放出された結果です。このような熱力学的なゴム弾性の理論は、1940年代には一応の完成を見せています(1)

一方、材料力学の観点からは、ゴムの変形は大ひずみ(有限変形)弾性に属します。材料が弾性体であるための条件は以下の2点です。

(1) 弾性体に作用した(熱)力学的過程はエネルギ(仕事)の散逸がない。すなわち可逆である。
(2) 弾性体の応答は変形の履歴に依存しない。すなわち各点の応力は現在の変形のみによって定まる。

いま、物体に力が加わり、位置が移動することを考えます。それに伴う仕事が物体の経路に依存しないということは、ポテンシャルと呼ばれる位置のスカラー関数が存在し、その微分勾配が力に等しいことを意味しています。例えば重力と位置エネルギ、あるいはバネ力とたわみエネルギの関係はその最も代表的な例です。閉じた経路に沿ってそのような力(保存力)が行う仕事は0であり、ポテンシャル関数を知れば、作用した力が求まることになります。

連続体の場合、経路をひずみによる変形の過程、力を応力とすると、ポテンシャルはひずみエネルギです。大ひずみ弾性にこの考え方を適用し、応力成分がひずみエネルギ関数のひずみ成分による微分から定められるとき、その材料を超弾性(Hyperelastic)材料と称します(2),(3),(4)。ゴムは粘弾性効果のため応力緩和を示すものの、支配的な性格である非線形弾性の部分については、超弾性材料として研究が進められてきました。まず、ひずみの尺度として次のような伸長比λを考えます。

λ=l/l0=1+e ・・・(1-1)

ここで、l0:変形前の長さ、l:変形後の長さ、e:工学ひずみ

座標軸として、せん断の効果を省くために主応力の方向を考えます。Fig.1-1に示すように1×1×1の単位寸法をもつ正方形の面に主応力σ123が作用するものとします。各辺はλ123のように変形し、σ123は変形後の面積に加わる応力、すなわち真応力です。ここに変形の微小変化によって生ずる歪エネルギの変化dWは、次のようになります。

dW = σ1λ2λ312λ1λ323λ1λ23 ・・・(1-2)

 

Fig.1-1 単軸立方体要素の変形状態

例えば、右辺第一項のσ1λ2λ3は第一方向の力であり、移動量dλ1を乗じてエネルギを表しています。(1-2)式を応力に対して示すと、

・・・(1-3)

一方、ゴム材料は変形によって体積がほとんど変化しない非圧縮の材料です。この条件を伸長比を用いて示すと(1-4)式、さらに(1-3)式に代入して(1-5)式となります。 λ1λ2λ3=l

λ1 λ2 λ3=1 ・・・(1-4)
・・・(1-5)

材料が非圧縮であると、静水圧応力pは仕事をしないので、(1-5)式には任意の大きさを持つpを追加しています。この事実は、非圧縮性材料の応力場は変形から完全には決定できないことを示しています(2)が、ここではこれ以上は踏み込みません。

 

 

 


Copyright 1995-2008 Mechanical Design & Analysis Co. ALL RIGHTS RESERVED
web master: comm@mech-da.co.jp